セゾン資産形成の達人ファンドはセゾン投信の旗艦ファンドです。
リーマンショック前の2007年から運用されており、現在純資産額は1200億円というレベルに到達しています。日本を代表する独立系の投資ファンドといえます。
日本の独立系投資信託の先駆けとして名を馳せています。セゾン投信にはセゾン資産形成の達人ファンド以外にセゾン・バンガードグローバルバランスファンドがあります。
後者は債券と株式を半々に組み入れています。達人ファンドは株式100%で運用されていますのでリターンがよく人気が高まっています。
今回は筆者の投資している同じく独立系の投資ファンドであるBMキャピタルと比較しながらセゾン資産形成の達人ファンドの分析をしていきたいと思います。
運用スキームの比較
セゾン資産形成の達人ファンドとBMキャピタルの運用スキームの比較をみていきましょう。
達人ファンドはファンド・オブ・ファンズ形式で運用
セゾン資産形成の達人ファンドはファンド・オブ・ファンズ形式で運用されています。
ファンド・オブ・ファンズとは投資信託に投資をして運用している投資信託です。セゾン資産形成の達人ファンドの運用ポートフォリオは以下の通りとなっています。

ファンド名 | 比率 |
コムジェスト・ヨーロッパ・ファンド80 | 26.5% |
コムジェスト・エマージングマーケッツ ファンド90 |
10.4% |
スパークス集中投資日本株ファンド | 2.8% |
スパークス長期厳選日本株ファンド | 4.5% |
コムジェスト日本株式ファンド | 4.3% |
バンガード 米国オポチュニティファンド | 21.5% |
アライアンス・ヴバーンスタインSICAV USエクイティポートフォリオ |
10.2% |
BBHルクセンブルグファンズ | 7.8% |
アジア・フォーカス・ファンド | 1.9% |
投資信託に二重で投資することになるので手数料は二重で発生することになります。
では投資家としてはセゾン資産形成の達人ファンドの投資しているファンドに直接投資すればいいのではないか?
と疑問を持たれた方も多いと思いますが、それができないのです。達人ファンドが投資しているファンドは私募ファンドです。一般投資家はアクセスすることができるのです。
BMキャピタルは合同会社の持分権販売スキーム
BMキャピタルは私募ファンドです。
BMキャピタルは合同会社の持分権販売スキームという形で資産を募集しています。
詳しくは以下でお伝えしていますので参考にしていただければともいます。

投資対象地域を比較
それでは投資対象についても比較していきましょう。
全世界に分散投資している達人ファンド
セゾン資産形成の達人ファンドは世界の株式に分散投資しています。以下は世界株式市場の時価総額加重平均と比較した図です。

達人ファンド | 全世界株 | |
北米 | 46.90% | 63.00% |
日本 | 12.10% | 6.20% |
欧州 | 23.80% | 15.70% |
太平洋 | 1.30% | 2.20% |
新興国 | 15.90% | 12.90% |
セゾン資産形成の達人ファンドは米国の比率を低めて日本と欧州の比率を高めに運用がなされています。
BMキャピタルは日本株に投資
一方のBMキャピタルは日本株に投資をしています。
日本株は世界的にみても割安な水準で放置されており、尚且つ上場企業数が多いのでBMキャピタルが得意とするバリュー株投資と非常に相性がよいのです。
また、当然日本国内に拠点があるからこそ出来る投資手法が存在しています。これは次の項目でお伝えします。
運用手法の比較
では両者の運用手法の比較を行なっていきましょう。
分散投資を行うセゾン資産形成の達人ファンド
セゾン資産形成の達人ファンドは投資信託に投資していることから分かる通り、かなり分散を効かせています。そもそも分散している投資信託に更に分散投資しているわけですからね。
合計すると1000近い銘柄に分散投資をしています。達人ファンドが投資しているファンドの運用方針は異なるので一概に戦略が存在しているわけではありません。
BMキャピタルはバリュー株投資とアクティビスト戦略の複合戦略
BMキャピタルは割安な日本株の中から真の割安株を探し出して投資します。
単純に指標で選別するわけではなく、ベンジャミングレアム流の本格的な手法で銘柄選択をおこなっていきます。企業のバランスシートを精査して銘柄を選定していくのです。

そして、BMキャピタルは1銘柄あたりに大きな金額を投資して大株主となります。そして大株主として株式価値を引き上げる提言を株主総会などを通じて積極的に行なっていきます。
実際、自社株買や費用の削減などを実施させており株価を能動的に引き上げていくのです。以下で具体的な例を記載していますので参考にしていただければと思います。


https://openhouse-int.com/covid/
https://openhouse-int.com/kyokutou/
運用成績の比較
では重要な運用成績の比較をしていきましょう。
価格変動幅は大きいものの長期的に価格を押し上げている達人ファンド
セゾン投信の基準価格の推移は以下となります。リーマンショックの2007年から15年間で約3倍となっています。

長期的にみると素晴らしいリターンですが、度々暴落を起こしています。特にリーマンショック時には基準価格は半減しています。
その他にも20%程度の下落を何度も被っています。大金を預けている場合は気が気ではありません。リターンは見込めますがリスクも覚悟しておく必要があります。
BMキャピタルの安定したリターン
一方のBMキャピタルも年率リターンとしてはセゾン資産形成の達人ファンドと同程度です。BMキャピタルは2012年からの運用なのでトラックレコードは若干短いですが。
ただ、BMキャピタルの特徴は下落耐性の高さです。BMキャピタルは綿密な調査によるバリュー株投資を実践することで価格の下落を回避しつづけているのです。
BMキャピタルは運用開始以来何度も調整局面がありました。しかし、このような局面でもBMキャピタルは下落することなく安定して資産価格を押し上げていきました。

減らすことなく徐々に資産を伸ばしたいという方にとっては最適な選択肢となるリターンといえるでしょう。上記の性質から筆者はBMキャピタルを主軸においてポートフォリオを組んでいます。

2022年はセゾン資産形成の達人ファンドが危険の理由とは?
BMキャピタルは市場平均に連動しない安定した成績を目指すヘッジファンドです。相場の状況をそこまで気にする必要がありません。
一方、セゾン資産形成の達人ファンドは世界の株式市場の成績に概ね連動した動きとなります。そして世界の株式市場の趨勢を決定づけるのは世界の時価総額の6割を占める米国の株式市場です。
そして、2022年の米国株市場は厳しい展開になることが想定されています。
現在、米国では2022年1月のインフレ率が年率7.5%という驚異的な数値を叩き出しています。そこで米国の中央銀行であるFRBはインフレを抑え込むために政策金利を引き上げ更にバランスシートを圧縮することを明言しています。
株式市場は金融政策の影響を大きく受けます。金利が高くなると株価のバリュエーションが下落するので、同じ利益を出していたとしても株価は減少する結果となるからです。
特に急速に引き締めを行う局面では大きく株価が下落する傾向があります。つまり、2022年はセゾン資産形成の達人ファンドに投資するのは危険な局面なのです。
一方、BMキャピタルはそもそも清算価値よりも低い株価となっている銘柄に投資を行います。そのため、特に市場環境に関係なくリターンが望めて実際、今までも市場環境とは関係なく安定したリターンを叩き出しています。
まとめ
セゾン資産形成の達人ファンドとBMキャピタルを比較してきました。まとめると以下の通りとなります。
達人ファンド | BMキャピタル | |
スキーム | ファンド・オブ・ファンズ | 私募ファンド |
投資対象 | 全世界株 | 日本株 |
運用手法 | 分散投資 | バリュー株 & アクティビスト戦略 |
リターン | 年率10% | 年率10% |
下落耐性 | 50%下落はありうる | 下落した年はなし |
筆者としては米国が金融引き締めを行うことを明言している2022年という局面を考えるとセゾン資産形成の達人ファンドに投資するのは危険であると考えています。
ヘッジファンドという形式ゆえ、なかなか実態が掴めないBMキャピタル。
2015年から投資を行っている筆者によるBMキャピタルの全てをお伝えしているページは以下となります。以下の点をお伝えしています。
✔︎ 会社概要
✔︎ ヘッジファンドマネージャーがどんな人か?
✔︎ どのような投資手法で運用しているのか?
✔︎ 他のファンドと比較して魅力的なのか?
✔︎ 出資するための方法や解約の条件とは?
BMキャピタルに興味があるという方は是非ご覧いただければと思います。