仕手株というと、言葉はなんとなく聞いたことがあるけれど、意味はよく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
比較的株価も安く良さそうに見えるのですが、実はリスクが大きく、株初心者にはおすすめできない銘柄なのです。
今回は仕手株についての特徴やその投資の流れなどを解説します。
仕手株とは、ある決まった投資家たちが大量の株の売買を行うことで、非合法で意図的に仕掛けられた急騰・急落が突然起きる銘柄を指します。
仕手株の読み方は「してかぶ」です。
日本の伝統芸能である、能で使われる用語の主役を表す「シテ」が語源とされています。
語源からわかるように、素人には扱いが非常に難しい銘柄です。
この仕手株を仕込む投資家たちを、仕手筋と言います。
仕手筋は不当な手段を用いて自分たちの思いのまま、大量の株を売買します。
仕手筋の正体は、政治家や宗教団体、暴力団、医師などの投資家集団で、凄腕であるとも言われていますが、あくまで一説に過ぎません。
仕手筋はとにかく、まわりにわからないように目立たないように地味に行動するので、実際にはどの人が仕手筋かはわかりにくいです。
違法行為ですがバレないように行われているため、はっきりと区別することはなかなか難しいのが現状です。
また、株価が高騰して乱降下するといった動きの大きい銘柄は、仕手系材料株と呼ばれています。
仕手株は短期間で大きな利益を出せるので、好んで購入する投資家が多くいます。
しかし、いわゆるマネーゲーム的な要素があり、企業の価値とは違います。
ですから取引がハイリスクであるということを忘れないでください。
また、仕手筋は株のことに関しては一流。
大損することが多いので、初心者やある程度の経験者でも絶対に手を出してはいけません。
多くの個人投資家は、被害者になって損失を抱えてしまうという可能性が高いといえます。
とくに危ないのは気づかないで、そのまま普通に投資してしまうことです。
購入すら株は慎重に選ぶようにしましょう。
株価の急騰が見られる銘柄は、何らかの原因があってのことなのか、仕手株の仕業なのか、正確に判断することは困難です。
しかし、選ばれる銘柄には大まかな特徴があります。
仕手株になりやすい銘柄の特徴を、3つご紹介します。
時価総額が小さい(500円以下)銘柄は、選ばれやすくなると言われています。
時価総額が大きい銘柄だと、株価を持ち上げるため、相当な強さの買い圧力が必要です。
しかし、時価総額が小さい銘柄であれば、買い圧力は必要ありませんので、対象となる傾向にあります。
東証基準で発行済みの株式数が、5,000万株未満であり、発行済みの株式数が少ない銘柄のことを小型株といいます。
市場で流れる株の割合が少ない小型株ほど、仕手筋が操りやすいため、狙われやすくなっています。
出来高が小さいほうが株数を大量購入しやすく、投資資金の自由度や資金の流動性を高めることが期待できます。
そのため、普段から出来高が小さい銘柄は、狙われやすいといえます。
仕手筋は、仕手株をまわりにバレないように仕込んでいます。
では、実際にはどのような流れで仕込んでいるのでしょうか?
一連の流れを、細かく見ていきましょう。
仕手筋はターゲット銘柄が決まると、さっそく誰にも気づかれないように、価格の低い段階からゆっくりと時間をかけて、静かに少しずつ対象の銘柄を買って増やしていきます。
株価が低い状態の時に、ターゲット銘柄の株を買い始めることを玉集めと言います。
株価や出来高の見た目には、目立った変化は見られないため、玉集めに気づかれることは殆どありません。
着実に買い集めて増やしていきます。
次に、数倍規模の買い注文で、ターゲット銘柄の株を一気に購入します。
少しずつ注目が集まったところで、玉集めで購入した株をわざと売り注文として並べ、自分たちで買い上げます。
こうすることで、他の投資家たちに購入されることを防ぎつつ、効率的に注目を集め、何も知らない個人投資家たちをマネーゲームにがっちりと引き込みます。
大量の買い注文が入ったことで、それまでずっと変化のなかった株価が刺激され、急激につり上がります。
すると証券会社が公開している値上がりランキングにターゲット銘柄の名前があがるようになり、売りによって注文の出来高も増えていきます。
この一連の流れを「玉転がし」と言います。
誰にもバレないよう慎重に株価操作を行い、買い集めた玉で市場の目が集まるように仕向け、最終的にはターゲット銘柄を投資家たちに高値で売却させます。
同じ名義で売買をすると、相場を操ったと疑われることがあるので、必ず証券会社や口座名義は別の違うものが用意されています。
それまで注目されていなかった銘柄がターゲットとなるので、株専用情報サイトに名前があがり、掲示板でもさまざまな噂が飛び交い、「提灯買い」が始まります。
そして今度は「振るい落とし」で個人投資家たちに揺さぶりをかけます。
「振るい落とし」とは、大量の保有株を買いながら個人投資家の心理を揺さぶり、わざと一時的にを下げる方法です。
心理戦が始まりますね。
「玉転がし」と「振るい落とし」を交互に行うことで、個人投資家たちに揺さぶりをかけ、さらに株価をつり上げていきます。
こうなると、もはや仕手筋と個人投資家たちとのバトルが始まり、心理的な戦いに入るのです。
この段階で一部のメディアやネット上などで騒がれ始めます。
「玉転がし」と「振るい落とし」が交互に行われ、さまざまな情報操作と心理戦によって、個人投資家たちはターゲット銘柄の株を高値で買い上げる状況になってしまいます。
仕手筋の思うツボ。
仕手株はターゲット銘柄も株価がどんどん上昇している段階で、保有していた株を一気に売り抜けます。
仕手筋の資金が抜けている空っぽになってしまった仕手株は、結果的にボロ株に。
本来の水準価格へと急落し、チャート上には高い山が残るのです。
仕手株には、短期間に大きな利益を得られるという魅力があります。
しかし、ハイリスクで難しい投資です。
また、気づかないうちに仕手株に投資していた、という状況もあり得ます。
投資家として、仕手株の理解を深めて見分ける力をつけることが大切ですね。