恐怖指数VIXは、株初心者の方にはあまり馴染みのない言葉ではないでしょうか。この記事では、VIX指数の基本的な知識・関連金融商品などを紹介します。
入門編として読んでいただければ幸いです。
VIXは、Volatility index(ボラティリティ・インデックス)の略語です。
アメリカのシカゴオプション(CBOE)が「S&P500」を対象とした、オプション取引の「ボラティリティ」をもとに算出しており、投資家の不安感を反映した指標として有名です。
VIXは恐怖指数とも言われ、投資家の市場に対する不安感や、恐怖を感じている度合いを示しているとされます。
S&P500はアメリカ株式市場全体の状況を示す指標で、日本でいう日経平均株価のようなものです。
このS&P500はニューヨーク証券取引所(NYSE)やNASDAQなどに上場している銘柄から、代表的な500社を選んで算出している指数です。
この指数は、日本のヤフーファイナンスで誰でも見ることができます。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスというインデックス企業が算出しており、アメリカの株式市場の約80%を取得しているため、経済全体の動きを見る指標としてS&P500は非常に有効です。
アメリカで代表的な株価指数にはNYダウ・NASDAQがありますが、S&P500は、それらの指標とは算出方法・構成銘柄などが異なっています。
NYダウと比較すると、S&P500は500銘柄から構成されているということで対象が広いため、分散性ではS&P500が適しています。
実績も高いので開始時点から右肩上がりで上昇し、1年間の収益率は日経平均と比べても高いパフォーマンスを残しています。
基準点から現在の時価総額がどれくらい増減したのかはすぐわかるでしょう。
ちなみに日経平均株価やNYダウが採用している指標は「株価平均型」です。
なおS&P500の組み込み上位10銘柄ベスト3は、アップル・マイクロソフト・アマゾンです。
ネガティブな事件が起こると急落し、バブル崩壊やリーマンショック時には大きく下落しましたが、その後にしっかりと立て直していることがわかります。
S&P500はリスクの低い安定した投資先といえるでしょう。
そのため、S&P500はインデックス型の投資信託において数多く採用されており、日本でもS&P500に連動した投資信託があります。
ボラティリティとは、株価が一定の期間にどのくらい変動するのかという価格変動の大きさを示す指標です。
相場が不安定だとボラティリティは高く、相場が安定しているとボラティリティは低くなります。
また、ボラティリティには2つの種類があります。
1つはヒストリカルボラティリティです。
過去のデータからのボラティリティで、過去の一定期間に株価がどのくらい動いたかを計算して出した数値です。
もう1つは、インプライドボラティリティで、市場参加者の期待から算出した変動率のことです。
変動率は、実際に市場で取引されたオプションの取引価格から逆算して算出します。
恐怖指数VIXは、投資家の不安感を反映しています。
VIX指数が将来的な投資家心理を反映しているのは、オプション取引を利用しているからで、オプション取引のボラティリティは投資家の予想を反映しています。
一般的には不安感が強いときは数値が高まり、不安感が少ないとき、数値は平穏で低いとされています。
VIX数値が高いときは、株価が暴落しています。
株価が大きく下がってくると損失に恐怖を感じる投資家が増え始め、大きな損失を避けるために売りに出します。
すると、さらに株価は値を下げていくため、焦った投資家たちがさらに売りに出す、といったことが繰り返されてどんどん株価が下がっていきます。
このようなメカニズムで、VIX数値が上がっていくのです。
ある程度まで株価が下がると、今度は下がり過ぎたと判断する投資家が増えてきます。
そして、買いを入れる投資家と前もって空売りをしていた投資家が便乗し、空売りを仕掛けた機関投資家へヘッジファンドなどが空売りの利益確定の注文をキャンセルし、株価を一定の値幅に戻すという状況が生まれます。
株式とVIX指数が逆に相関しているということは、株式をたくさん買っている人は、VIXをロング(買い)することで暴落した際に一定の利益を上げることができる、というヘッジが効きます。
基本的にVIX指数は株式投資をするうえで、いろいろなサインを投資家たちに与えてくれます。
ただ、VIXのロング(買い)の人は長期保存には向きません。
損失が膨らんでいきます。
VIX指数は、裏付けとなる資産がある訳ではないので資産そのものに投資はできません。
したがって指数に連動する金融派生商品を通じて、VIX指数に投資できます。
ETF(上場投資信託)とETN(上場投資証券)は株式と同じで、どちらも金融商品取引所でリアルタイムで売買が可能ですが、仕組みやリスクなどに違いがあります。
ETFは、投資信託や投信法を根拠法としている投資信託です。
株式や債券などの資産の価格変動・流動性・信用・為替などのさまざまなリスクがあります。
ETNは外国の社債発行で、法律を根拠法としている金融商品取引法であるため、外国社債券にあたります。
ETNにおいても、連動対象指数の変動による価格変動のリスクを受けやすいという特徴があります。
また、発行元の金融機関の信用で発行される証券なので、倒産や財務状況の悪化からETNの価格が下落して、最悪では無価値になる場合があります。
発行したての頃は、発行元の財務状況がよいという場合でも、発行後にも変わることがあるので注意が必要です。
ETFには基本的に満期がなく運用期間は無期限なので、上場廃止基準にふれて上場廃止にならない限り運用が続きます。
一方、ETNは発行したときから償還期間が決められています。
満期まで保有すると、償還価格は指数内容が反映しますので、通常の社債券のように額面金額で償還されません。
投資対象にも違いがあります。
現在国内の取引所に、上場ETFの連動対象である資産は、現物の株式、債券、REITなどの不動産投資法人や金などのコモディティ中心となっています。
日本でのETNは、商品指数とボラティリティ指数に連動するETNが上場していますが、アメリカの状況は、エネルギー・農産物などの商品指数への連動が多く、その他に通貨、株式、債券などもあり、また投資信託のブル・ベア型のようなものもあります。
VIX先物は、日経平均株価や金・小麦などと同じ様に取引できる限月が定められた先物取引です。
株式投資をしている人なら、国際ETF VIX短期先物指数1552を目にしたことがあるのではないでしょうか。
VIX短期先物は、短期売買が特徴の商品で、資金管理と相場観が重要です。
一番大切なポイントは先物には有効期限があるので、買った値段より高く売らないと利益を得ることはできません。
そのため、期限内に買った値段より高く売れないと損をします。
VIXの場合は、きっかけがないと大きく上がらないので、普段は底値を横ばいしている銘柄であることから、時間価値を重視して取引をすることが重要です。
日本では日経225オプションに代表されるデリバティブ取引の1種です。
オプションの買い手は損失限定と利益無限大の取引が可能です。
オプションというのは、ある商品を決められた期日までに、特定の価格で売買する権利を指します。
権利を買う場合を「コール・オプション」、売る場合を「プット・オプション」と言います。
株価が上昇するであろうと予想した場合はコール・オプションの買いが増え、下がるのではないかと予想した場合はコール・オプションの売りが増加します。
また、株式相場が大混乱状態になったときには、VIX指数のオプションの価値は急騰し、プット・オプションの売り手に、混乱期を乗り切れれば利益になるといった戦略が可能です。
今回は恐怖指数VIXについて解説しました。
株価下落の先行投資される方は、世の中の投資家が現在の相場に対してどのような印象をもっているのか確認する方法の1つとしてVIX指数を活用してみてください。
TPOに合わせて投資対象を選択することも大事です。